私の提言「親子で一緒に考える」

和光国際高等学校PTA会長 水野 方子

 “安心で安全な生活とは?便利で豊かな生活とは?求めてきた幸せとはなんだったのか?本当の豊かさとは何なのか?”答えを出すのは難しい。けれども、これからを生きる子どもたちの為にも、今親として自らの生活を省みて、これらの問題と向き合う必要があると思います。

 3月11日の東日本大震災。千年に一度という災害を前に人間の非力さを実感しました。そして原発事故が起きました。あれから4ヵ月経った今でも、被災地の人々は、食べ物や住まいに事欠くだけでなく、高濃度の放射能汚染に脅えながらの生活が続いたままです。そして私たち自身もこの先長きに亘り、放射能問題と向き合っていかなければならないことになりました。深夜まで走る電車、猛暑日でも快適な環境を与えてくれるクーラーなどなど、日々の生活のこまごまとした細部まで、その便利さ・豊かさを支えている一端が原子力発電だと改めて知らされたのも、皮肉にも今回の震災です。

 高校生の娘を見ていると、その頃の自分を思い出すことがあります。私が育った地方の交通機関は、一時間に一本の単線のローカル線とバスだけでした。乗り遅れると大変で、自転車でわき目もふらず一路学校へ走ることになるのですが、授業は既に始まっているのがほとんどで、恥ずかしさで赤面しながら教室に入りました。(今でもその恥ずかしい習慣が消えない自分には笑ってしまうのですが…)今、私も娘も時刻表などほとんど必要としないような交通の便利さの中で暮らしています。それも、当たり前という思いの中で。“当たり前と思っている生活と背中合わせに、とても大きな危険が潜んでいる”ということを私たちは体験しました。本当の幸せとは何かについて、子どもを交えて考える時ではないでしょうか。

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