全国大会に埼玉から497名参加 和歌山で「和をもって」響き合う

 第62回全国大会は8月23日、和歌山市で開かれました。テーマは「和をもって響き合え!〜つれもて広げる共育の輪〜」。人と人とのつながりを再確認し、「共に育つ」社会を目指して私達にできること、やるべきことを模索しようということでした。

第61回全国高等学校PTA連合会大会 北海道大会の様子
開会式直前に披露された和歌山県立向陽中・高一貫校の大吹奏楽演奏風景

第61回全国高等学校PTA連合会大会 北海道大会の様子
第2分科会の発表と参加者たち

 大会第一日は和歌山ビッグホエールで開会式、午後は七つの高校生たちによるアトラクション(和太鼓、拳法、筝曲)があり、続いて二つの基調講演がありました。一つは和歌山大学観光学部の尾久山正巳教授が「はやぶさと和歌山大学の関わり」。もう一つは宇宙航空研究開発機構シニアフェロー、宇宙科学研究所宇宙飛翔工学研究系教授の川口淳一郎氏でした。

 氏はハレー彗星探査機「さきがけ」、工学実験衛星「ひてん」、火星探査機「のぞみ」等のミッションに関わり、小惑星探査機「はやぶさ」では中心的な役割を担いました。講演は2003年5月、鹿児島県内之浦の打ち上げから、2010年6月、オーストラリアのウーメラ砂漠に帰還し、資料カプセルを回収するまでの間、故障や様々のトラブルをどのように乗り切ったか、その苦心談でした。人間の構想力やチームワーク、苦難にどう耐えるかなどドラマチックで教訓に満ちた講演でした。

 二日目は四つの分科会と二つの特別分科会に分かれて、研究協議が繰り広げられました。この全国大会には埼玉県から497名が参加しました。

示唆にあふれて 分科会・感動の報告

第一分科会 川越西高副会長 米沢 千秋

 今回の発表の中で特に印象深かったことは、役員の方が皆さんで合唱されている学校があったことです。そこでは何事につけ積極的になり、自由に話し合えるようになったそうです。またあいさつ運動、学校周辺の掃除、文化祭での模擬店の出店、体育祭・文化祭時の生徒へのドリンクサービス、さらに講演会開催後に食堂で保護者への食事サービス等、保護者が生徒や先生と深く関わりが持てるように配慮された素晴らしい活動などが、数多く紹介されました。参加した人にはとても参考になったと思います。

第二分科会 川越女子高会長 東 喜代雄

 第二分科会は「一人ひとりを大切にする進路指導」でした。

 岩手県遠野高校は学校の文化祭に合わせて、PTA主催のコンサートや講演会を開きます。ゲストは卒業生や地域の著名人。

 群馬県藤岡工業高校はPTAが協力して進路フェスタを開きパネルデスカッションや講座の開催、就職試験に向けて模擬面接などをしています。

 石川県七尾東雲高校は遅刻者と欠席者に反省文を書いてもらうのですが、その文章に添削を加え、それらをまとめて『指導便り』を発行します。部活の未加入者が多いのでアンケートを取って見ると「ダンスならやりたい」と四名が希望します。やがてダンスがスタートしますが、今では部員四一名、街の名物になっているとか。マイクロバスを二台購入したそうです。当然遅刻も無くなり部活未加入者も激減したと報告されました。

 高知東工業高校でも模擬面接に事業主の保護者が加わり効果を上げているなど、いずれももう少し早く知りたい報告でした。

第三分科会 春日部女子高会長 鈴木 勝己

 日本最大の半島である紀伊半島の西側に位置し美しい海、緑多き山々と自然に恵まれた和歌山県での全国高P連大会二日目は、四分科会・特二分科会の全六会場にて代表校による事例発表&研究協議が行われましたが、私は第三分科会「生徒指導とPTA」での発表・助言を視聴しました。各校それぞれに地域との連携の継続・父親の積極的な参加等々と熱心な活動に感銘を受けましたが、質疑応答での参加者の質問や意見もたいへん、熱く有意義な分科会でした。

 余談ですが、開催中に地産品等の販売があり南高梅をトマト果汁で漬け込だ梅干し「とまと梅」が買えなかったのが、心残りです。

第四分科会 熊谷農業高会長 黒澤 昌之

 第四分科会(家庭教育とPTA)は、〜もう一度考えよう 家庭教育の役割とPTA活動〜のテーマによる四校の事例発表がありました。

 栃木県立黒磯高等学校からは、「思春期の子を持つ親の学びの実践」の発表があり、「思春期の子を持つ親の心得二十章」の資料配布がありました。

 富山県立砺波工業高等学校からは、「親の思いを親として如何にして伝えていくのか」と題してアンケート結果を踏まえたPTAの具体的な取り組みが発表されました。

 愛知県立一宮南高等学校は、「PTAからの発信〜家庭との絆づくりをめざして」との題で、PTA広報誌「絆」の発行活動等を発表しました。

 佐賀県立高志館高等学校からは、「夢の実現に向けて学校との連携を通して」と題して、専門高校の特徴を生かした取組が報告されました。

特別第一分科会 川口市立県陽高会長 榊原 陽輔

 「防災教育とPTA」をテーマとした特別第一分科会では講演とパネルディスカッションの二部構成でした。その中で特に深く印象に残った河田惠昭先生の講演の話を皆さんにご紹介したいと思います。それは、「防災は自助→共助→公助の順で進め、継続し、各家庭で自助と共助の具体的な内容を次の世代に伝える事で完結する」というお話でした。

 防災の順序は「自助」文字通り自分の身の安全が第一、次に自助ができた人は「共助」家族・団体・地域と範囲を広げ、最後に「公助」国や自治体からの救援助というお話です。

 我々が取組むべき課題は「共助」だと思いました。この言葉は私自身は今回の分科会で始めて知りましたが、自らを助けた上で地域密着の防災。これこそがPTAが取組むべき課題だと認識しました。河田先生の講演を機に当PTAでも検討を始めたいと考えました。意義深い講演でした。本寄稿が皆さんの防災意識の刺激になれば幸甚です。

特別第二分科会 川口北高会長 土屋 雅義

 特別第二分科会は、「地域コミュニティーとPTA―子供も大人も共に育ち、育て合うPTA活動へ」のテーマの下、パネルディスカッションが行われました。

 子供たちが地域の一員として主体的に社会に参画できるよう地域で子供たちを育てる視点から、五人のパネリストがそれぞれの取り組みを発表しました。

 異なる地域にある三つのキャンパスを持つ学校を地域ぐるみで支援する事例、再編を契機にPTAと地元地域住民との関係を深め、学校への興味・関心を持ってもらい絆を一層強める活動の事例、東日本大震災へのボランティア活動を高校生にまで拡大し地域で子供を育てる事例など、PTA活動に対するヒント、示唆に富む発表に感動しました。また、PTA活動を継続していく必要性や重要性について改めて考えさせられた分科会でした。

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