十二月一日、埼玉会館小ホールに於いて全国高等学校PTA連合会主催の『子どもたちのメンタルヘルスと意欲』と題した研修会が開催されました。
開会行事では荻荘誠全国高P連副会長が、この研修会が子どもたちの未来を明るくする一助になるよう祈念している、とあいさつされました。
また、松本裕史埼玉県高P連会長は、約三千五百人の高校生とその保護者に対して行ったアンケートの結果を一人でも多くの人に伝え、子どもの健全育成につなげることがこの研修会の目的、今日の内容を各校に戻って伝えてもらいたい、と参加者によびかけられました。
続いて、京都大学大学院医学研究科准教授の木原雅子氏による基調講演が行われました。
医学博士として歩んでいらした経歴から、難しい内容になるのでは…と少々身構えて聞き始めましたが、穏やかな柔らかい語り口で大変わかりやすく話してくださいました。壇上に映し出される資料映像には、先生がお好きだという犬や猫のユーモラスな画像が折り込まれ、会場内は終始なごやかな雰囲気でした。
講演の前半は、全国高校生意識調査の結果の分析を基に進行していきました。まとめとして“自己肯定感が低いため、問題に立ち向かえない”という今の高校生像が示されました。多少の困難は乗り越え、自分の描いた夢を実現していく意欲的な子どもを育てるには、周囲の大人が子どもの成長過程において、いかに『自己肯定感』を与えることができるかにかかっている、と強く感じました。
後半では、社会疫学者として関わっていらっしゃるWYSH教育について話されました。モデル授業の映像が流されましたが、木原先生とのやりとりの中から“生きていることの実感”や“大切なものを守ることの意味”に気づいていく子どもたちの姿は大変感動的でした。
講演終了後のシンポジウムには、パネリストとして木原先生、島田正美氏(県立総合教育センター指導担当)、加賀満喜子氏(浦和東高校後援会長)、足立佳子氏(春日部高校養護教諭)が登壇し、島田先生を進行役に、それぞれのお立場から『子どもたちのメンタルヘルスと意欲について』、日ごろの活動や体験、そこで得た感想などを述べられました。
最後に木原先生が子どもたちを取り巻く環境は壊れかけているが、大人が意識的に繋がりをもってセーフティーネットを作っていくことが大切、今回の研修がこうした取組のきっかけになればこれ以上の喜びはない、と参加者に呼びかけて閉幕しました。
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