興味津々 山村留学紹介

県立小鹿野高校 校長 渡部 弘正


教職員手作りの机

ランチジャーで運ばれる昼食

 本校は1948年の創立で、66年目を迎えた小鹿野町唯一の県立高校である。町内には鉄道の駅がなく、西武秩父駅等からバスで40分ほどかかり、本数も少ないため生徒募集面では大変苦労している。連携型中高一貫教育にも10年間取り組み生徒募集を行ってきたが、地域での少子化の影響もあり、2005年度から定員割れの状態が続いている。今年度10月1日現在の生徒数は208名で、埼玉県で最も人数の少ない全日制高校である。

 2012年度、埼玉県教育委員会から「地理的環境が『山村留学』に適している」等の理由で学校側の要望が認められ山村留学制度の試行がスタートした。制度の名称は「ハートウォーミングステイ」で、その制度を利用できる基本条件は、「自宅からの通学時間が2時間以上」となっている。1年目は新座市や和光市等から8名の生徒が山村留学の制度で入学してきた。8名の生徒はすべて野球部に所属し、町内にある老舗「須崎旅館」で寝食を共にしている。翌2013年度も試行を続け、さいたま市や深谷市等から7名の生徒が入学してきた。6名が野球部に、1名がソフトテニス部に所属している。宿泊先は小鹿野町のご理解をいただき、学校から4キロほど離れた国民宿舎「両神荘」となっている。山村留学の生徒は数としては少ないが、各学年で約1割相当となっている。

 親元を離れての生活で、入学当初は練習で疲れて帰っても洗濯が終わるまで寝られない等苦労もあったようであるが、寝食を共にすることで連帯感も生まれ、学年ごとの結びつきは大変強いものとなっている。また、豊かな自然環境と少人数のため勉強や部活動に集中でき、地元の生徒たちとも教室内で上手にコミュニケーションを取っている。学期に1回は親元に帰しているが、そのたびに家族のありがたさを感じて帰ってくるようである。

 多感な高校時代に親元を離れて生活したことが、卒業後の生活に何らかの影響を与えることを願って教職員も支援している。

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