他校の取り組みから学ぶ〜専門委員会研修会の報告〜

 今年度の県高P連専門委員会研修会が、11月19日(土)と30日(水)の両日、開催されました。会場の市民会館うらわには、各学校から多くの参加者が集まりました。

一日目の午前・家庭教育

 家庭教育専門委員長の定森隆会長(川越初雁高校)のあいさつの後、4校が取り組みを発表しました。

 最初の三郷北高校は「アンケート結果から保護者の役割を考える」と題し、「学校評価アンケート」の分析結果を発表しました。「生徒と同じ目線で話せるようにするためには、保護者の行事参加率を高める事が必要」、「学校での学習に満足するのではなく、家庭でも学習環境を整えることが大事」と指摘しました。


朝霞西高校の発表

 2校目の朝霞西高校は、家庭教育アンケートを分析したパワーポイント画面を見ながら、会長さんと校長先生が対話を展開していくユニークな形式での発表でした。高校生の時期は、人間関係や悩みの質も大きく変わる時期なので、「子どものSOSに気付ける大人になる」、「相談しやすい親子関係をつくる」ことが大事との部分は、保護者が心すべき点だと思いました。

 3校目は桶川高校の発表がありました。「教育の根幹は家庭教育」とした上で、「保護者が学校行事やPTA活動に参加することで、家庭とは違う子どもたちの様子を見て、感じて、さらなる成長を目指したい」との決意が述べられました。

 最後は、百年以上の歴史と伝統を誇る熊谷農業高校がPTA活動の様子を発表しました。子どもたちが栽培実習や飼育実習の生産物を家に持ち帰り、それが食卓にのぼった時、子どもが学校の様子や生産時の大変さなどを話してくれるそうです。

一日目の午後・進路指導

「保護者から自立支援者へ」〜山下真司先生の講演〜


山下真司先生の講演

 午後は、キャリアガイダンス編集長の山下真司先生の講演がありました。山下先生には、「20年後の社会を生き抜く人材とは?」とのテーマで、学校と学校の授業が変わる状況下で保護者が子どもとどう向き合うかについてお話しいただきました。

 山下先生によると20年後の社会では、現在、存在しない職業が多く存在するそうです。そんな社会では、「前に踏みだす力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」を身につける事が重要とのことです。「親は、子どもの可能性を信じて任せる姿勢を保ち、親が『保護者』から『自立支援者』になるべき」との山下先生の最後の言葉が印象に残りました。

 研究協議会では、進路指導専門委員長の図師喜恵会長(本庄高校)のあいさつの後、4校が発表しました。

 最初の草加西高校は、「生徒の進路指導と学力向上を支援するPTA活動」をテーマに発表しました。学校の新任の先生等の資質向上を目指し、先生が予備校主催のセミナーに参加するのを支援している事などが報告されました。


発表校の紹介(進路指導)

 次の飯能南高校の発表では、保護者が自らの体験を他の保護者に語る「ぶっちゃけ座談会」の取り組みがありました。これは、PTA会長など4名の保護者が語り手となり、それぞれのキャリア経験を話すもので、他校にとっても参考になりそうです。

 続いて、来年度、創立30周年を迎え、3学科併置の総合制高校になる鳩ヶ谷高校が発表しました。進路や家庭学習等に関するアンケートの分析結果から、「保護者は子どもたちから進路の相談をされるが、情報が不足しており、保護者は、もっと進路に関する情報を求めている」事などが報告されました。

 最後の寄居城北高校からは、PTA・後援会・同窓会の方々が、夏休みに、就職希望者に対して模擬面接をする様子が紹介されました。

二日目・午後 高校教育とPTA

東元会長の講演で感動の涙「ぼくの母ちゃん世界一!」〜東 喜代雄元高P連会長の講演〜

 午後は、元高P連会長の東喜代雄氏(学校法人石川学園・狭山ひかり幼稚園理事長)の講演がありました。


浦和西高校の生徒さんの合唱

 東氏は、荒れた中学校のPTA会長時代の経験に触れ、「子どもの言うこととすることで、意味のないものは一つもない」として、「自分がどう変わればいいかを模索する教員だけが、教員の資格がある」と述べました。

 さらに、「教育はよさの発見」であり、教育は「共育」、「協育」、「響育」であると続けました。また、「愛することは聞くこと」であると述べ、子どもたちに対しては、「生まれてくれて有難う」と言う気持ちを持ちながら、「子どもたちの叫びに耳を傾け、聞いて聞いて聞きまくろう」と参加者に呼びかけました。


東喜代雄氏の講演

 東氏の講演会には、浦和西高校の合唱部の生徒さん10名が応援に駆けつけて、講演に合わせて童謡を斉唱してくれました。生徒さんたちの「シャボン玉」、「春の小川」等の歌声は参加者の心にしみわたりました。浦和西高校の生徒の皆さん、ありがとうございました。

 研究協議では、高校教育とPTA専門委員長の松下みどり会長(大宮東高校)のあいさつを受け、最初に鷲宮高校が発表しました。関東最古の大社、鷲宮神社の近くに位置する鷲宮高校は、旧鷲宮町にとってはまさに「おらが町の高校」であり、鷲宮高校の教育をとおしての地域貢献度は高いものがあります。PTAの役員が鷲高応援団の一員として、学校の生徒募集の応援をしているそうです。応援団員が、地元の中学校や地域の方に学校説明会の案内を配布し、鷲宮高校の教育活動の宣伝をしていることが報告されました。

 次は創立94年目を迎える松山高校の発表がありました。支部(地域)を基本にしたPTA組織により、PTAが50年に及ぶ伝統行事の比企一周駅伝を強力に支援している様子などが報告されました。

 続いて、大宮東高校の発表に移りました。県下初の体育科を設置する学校らしく、PTAにもスポーツ文化委員会があり、今年のスポーツ文化講演会では、卒業生の奥原希望選手(リオオリンピック・バドミントン銅メダリスト)を招いたそうです。

 最後に発表したのは皆野高校です。学校を取り巻く状況の変化に対応して、PTA組織のスリム化を図るなど、課題を明確にとらえた上での改革の取り組みが参加者の注目を集めました。卒業生の新井涼平選手(やり投げ)のオリンピックでの活躍の動画を最初に流すなど、発表方法での工夫も見られました。

二日目・午前 生徒指導

 生徒指導専門委員長の丑久保恒行会長(羽生実業高校)のあいさつの後、研究協議会に移りました。

 最初に、不動岡高校が「生徒指導とPTA」と題する発表をおこないました。創立130年の伝統を感じさせる落ち着いた内容の発表でした。中でも、生徒・保護者対象のSNSに関する講演会に注目が集まりました。LINE(株)からインストラクターの先生を講師に招いての講演会は、生徒のみならず保護者の方にも大いに勉強になったようです。


浦和商業高校の発表

 2校目の狭山清陵高校からは、秋口に開催した生活・進路委員会主催の講演会の報告がありました。講師の、プロ野球のマネージャーの方のお話は、家庭でのしつけや教育について考える契機となったようです。

 続いて、今年度創立90周年を迎えた浦和商業高校の発表がありました。分かりやすく楽しいパワーポイントの画面を見せながら、きめ細かな頭髪指導、遅刻指導等の様子が報告されました。

 最後は、やはり創立95年の伝統を誇る深谷商業高校が登場しました。発表の中で特に印象的だったのは、PTA主催で実施したゴルゴ松本氏の「命の授業」講演会でした。旧花園町出身のゴルゴ松本氏は、「命の大切さ」や「思いやりと感謝の気持ちを持つことの大切さ」を熱く語りました。保護者も200名近く参加したようです。

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