私の提言「楽しめる学びへ」

さいたま市立浦和高等学校PTA会長 ぬで*1嶋英司

ぬで嶋英司氏

 私にとって、子供の時の『勉強』と大人になってからの『学び』には大きな差があります。その差は本当の意味で自ら進んでしているのか、ということです。幸いにして三十代後半から『学ぶ』機会に多く恵まれ、学べば学ぶほど興味と疑問が深まり、更に知りたくなるという好循環が生まれています。では何故子供の頃には今のように能動的に学びたいという気持ちが少なかったのかと不思議に思うわけですが、その理由の一つにテストの存在があるのではと考えます。勉強の目的はテストや入試の為ということになりがちですが、これは勉強の本来の目的から離れていると思います。

 テストの為にでは無く自ら学びたいと思う気持ちを育むのは難しそうですが、全く無理なことではないはずです。それは『人間には食欲などの欲求と同様に、本能的に知りたいという欲求がある』と考えるからです。時々息子達にこんなことを話しかけます。『勉強って無理矢理する必要はないと思うけど、いろいろな事を知っていると楽しいし、知れば知るほどもっと知りたくなるから楽しいことがどんどん増える。父さんを見ていてそう思うでしょ?』。少し強引な展開かもしれませんが、楽しんでいる姿を見せるのが一番伝わると思っています。

 『勉強』=『テストの為』という構図を、『勉強』=『知識が増えて楽しいもの』に変えられればと願います。家族で一緒にTVを見たり、出かけたりする時には、なるべく『これは何故そうなっているのか?』と子供に問いかけて、その後に解説するようにしています。そうすることで知的好奇心が刺激されて、知ると楽しい、自分で調べてみよう、ということにつながっていけばと期待します。この時に子供から『これ学校で習った!』と言われればしめたもので、なるべく関連した事を話して興味を広げていきます。時々子供達から教わることもあり、これも楽しいですね。テストから離れて楽しめる学びをどんどん増やしていきたいものです。


*1 「ぬで」は木へんに勝

前のページへ 「埼玉県高P連だより」Topページへ 次のページへ