教育活動紹介

リベラルゼミ(教養講座)について

県立川口北高校 校長 遠藤修平


ダン博士によるゼミの様子

 本校は、今年創立43年目を迎える全日制普通科・男女共学の学校です。各学年9クラス、全校生徒は千百名を超えています。生徒はほぼ100%大学進学希望であることから、2学期制や55分授業を導入し、授業時間の確保や学力の向上に取り組んでいます。部活動には97%以上の生徒が所属しており、地域からは、高いレベルで文武両道を実践する進学校として評価をいただいています。

 特に学習面では、大学受験の先、大学入学後や大学卒業後の社会に出てからのことまでを視野に入れて、教養主義(リベラルアーツ)を推進しています。2年生までは文系希望でも理系希望でも国社数理英の授業にしっかり取り組ませる教育課程を組んでいます。また、思考力や判断力、表現力を育む授業や、主体的・能動的な学びを促す授業(アクティブ・ラーニング)、ICTを活用した授業にも積極的に取り組んでいます。

 また、今年度からの新たな取組としてリベラルゼミ(教養講座)を開講することになりました。これは生徒に高校と大学の接続を意識させ、幅広い視野や学問探究のきっかけとし、進路意識を喚起するために行うものです。

 6月18日(土)には、東京大学大学院農学生命科学研究科のクオック トゥェット ダン博士と同研究科の山崎琢平氏をお招きして、第1回リベラルゼミを開講しました。

 ダン博士の研究テーマである「土壌中の放射性物質の拡散」に関する講義の後、「汚染された土壌をどう処理するか」について参加した生徒と活発なディスカッションが交わされました。講義及びディスカッションはすべて英語で行われました。生徒からは「ロケットで宇宙に打ち上げる」200mの地中に埋める」「植物を植え、葉に蓄積した放射性物質を焼却して埋める」など、さまざまな興味深いアイデアが提案され、博士と討論がそれぞれのアイデアに対してダン博士からコメントをもらいました。

 参加した生徒からは「大学のレベルを知ることができた。」「セシウム汚染などの専門的なことを詳しく知ることができた。」「ダン先生が質問によく答えてくれて嬉しかった。もっと英語を勉強したい。」「すべて英語だったので理解するのに苦労した分、集中力が高まった。」「研究の楽しさを知ることができた。よい刺激となった。」などの感想が寄せられました。第一線で活躍する研究者との交流を通じて、生徒たちは大いに知的好奇心を刺激されたようでした。

 今後も大学教授や企業の第一線で活躍する方を招いてセミナーを実施していく予定です。

実践しながら学ぶ

県立杉戸農業高校 校長 梅澤仁

 本校は、大正10年に創立、満95年を迎えた伝統校です。卒業生は、一万九千余を数え、地元産業界はもとより各方面で活躍しています。現在農業の各分野を網羅する6学科を設置し「人間性豊かな、心身ともにたくましい産業人を育てる」を目標に掲げ、職員一丸となって教育活動に当たっています。

 本校は、農業に関する専門高校ですので「体験しながら学ぶ」「実践しながら学ぶ」が教育活動の大きな特徴です。そして、学ぶ中で疑問を持つこと、それを解決する能力を持つことを大切に指導しています。また、農業は短期間で身につく訳ではありません。将来も常に学んでいく必要があります。そのために、地域や校外の機関等との連携を活かした生徒の活躍の場づくりに取り組んでいます。


あんみつを美味しそうに食べるおばあちゃん

 春と冬に行われる農産物即売会、秋に収穫祭を兼ねた杉農祭、大手スーパーでの販売、地元のそば打ち道場から指導を受け「全国そば打ち大会」への出場、杉戸警察署の協力を得て「無事カエル」(カエルマスコットを生徒が作成配布)と「事故ナシ」(栽培したナシの配布)、地元の幼稚園との交流会、生徒が小学生の先生となってナシ栽培の指導等、多くの活動をおこなっています。これらの活動は、生徒が主役です。生徒が自らの役割を自覚し、懸命に努力して取り組み、行事を成功させる姿は実に頼もしく、その見事な成長ぶりには驚きます。

 この他にも、野菜専攻生が栽培した野菜をホテルブリランテのレストランの食材として提供しました。

 造園科の3年生の生徒が近隣の食堂から庭づくりの依頼を受けて、8名の生徒が週2回の授業で設計し施工を行っています。今まで学んだ知識・技術を総活用して一生懸命取り組んでいます。

 食品流通科では、日光街道杉戸宿開宿四百年に合わせ、2日間限定で開店。当時振る舞われていた「たまごふわふわ」をアレンジした杉農オリジナルお茶漬け、あんみつ、サイダーを提供しました。大盛況でした。

 このように実践を通しながら学ぶ活動を通じて、生徒が大きく成長し、将来地域を支える人材となることを目指し、これからも杉農は頑張ります。

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