会長挨拶 春日部女子高等学校PTA会長 熊谷哲郎

熊谷哲郎氏 昨年の三月十一日からまもなく一年。「平成二十三年」は日本の社会に大転換をもたらしました。東日本大震災を契機として、私たちは地域社会のコミュニティのあり方や、人と人との「絆」の大切さ、命の尊さ、などを改めて教えられました。県内でも各地で放射能の調査が続けられ、子どもたちの健康への心配もぬぐえません。被災地の復旧・復興には長い年月がかかります。会員の皆様方には、県内各地に避難している子供達が安心して学校生活を送れるよう、今後ともご支援とご協力をお願い申し上げます。

 「家庭で躾け、学校で学び、地域で育てる」。PTAでは活動を通して次の世代を担う子供たちの育成に力を注いできました。しかし財政の逼迫と共に、「文教予算も聖域ではない」、として、平成二十二年度から実施された高校授業料無償化にも国会で様々な議論があり、また、事業仕分け等で各種の補助金に対して見直しが進められています。今年度も「高校生と保護者の進路に関する意識調査」などを実施しましたが、このような意義深い事業を継続していくにはある程度、財政的な裏付けが必要です。しかし、現況では諸事業が今後も継続できるのか、心配もあります。

少子化が一段と進み、厚労省の調査では二十三年度の全国の年間出産数は過去最低となり、また、埼玉県における高校への進学者数は、平成元年前後のピーク時に比べ六割程度で、生徒数の減少による学校の統廃合など、子供たちの教育環境についての影響も懸念されます。大卒・高卒の就職率が低迷し、経済状況も良いとはいえない現在、子供たちが実社会で自立できるよう、保護者として、また大人としての役目をはたさなければなりません。そのためにもPTAとして、会員皆様への研修・研鑽の場を提供すると共に、情報発信能力を高めていく必要があると思います。

 さて、来年、平成二十五年度は埼玉県で関東大会が開催されます。昨年の総会で準備委員会が発足し、主会場の選定(大宮ソニックシティを予定)や、予算・テーマ・分科会・アトラクション等についての検討を重ねてきました。PTA活動発展のためにも、関東各県の参加者から「参加してよかった」、と思われるような、「さいたま」カラー溢れる意義ある大会が開催できるよう、準備を進めて行きたい、と考えています。また、平成二十五年度は埼玉県高P連発足五十周年にも当たります。五十周年という節目の年の取り組みについても、今後、検討を重ねていく予定です。

いま若年層を取り巻く環境は厳しさを増しています。未来ある子供たちを育み、活動を次に繋げていくためにも、各校の単位PTAと埼玉県高P連が連携し、協力し合い活動していけるよう、今後とも全力で取り組みますので、皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。

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